こんにちは。税理士の山内です。
今回は、会社が銀行とのお付き合いの中で、出てくるかもしれない問題、「預金拘束」についてお伝えします。
◎ケースA
『ある日突然、取引銀行から預金を拘束する旨の内容証明郵便が届いた。』
全国銀行協会が作成した旧銀行取引約定書ひな型によれば、確かに、銀行には、債権保全のために必要な場合には担保を徴収することができます。
しかし、それは客観的にその会社に対して担保の提供を請求することが正当であり、合理的理由がある場合に限られます。
具体的には、「当初は債権が担保等により十分に保全されていた」のに、信用状況の著しい悪化、徴収中の担保の滅失、価格の低下による担保不足、保証人の信用低下などの事由が生じた場合に限られます。
逆に言えば、「当初から債権保全に不足があることが明白」な場合や、「今も十分な物的担保がある場合」には、仮に会社の信用が悪化したとしても、現実に十分に担保で保全できているならば、新たな担保増は認められないのです。
つまり、当初の融資の時点で借りたお金と担保設定額が見合ってない場合や、担保なしで貸し付けていた場合は、その後の会社の信用悪化が生じたからといって、担保増の要求はできないのです。
このケースの場合に会社が取るべき行動としては、預金拘束の根拠規定や該当理由を聞き、預金拘束を正当化できる条件を満たしているか確認し、もし不当な拘束であれば、預金を解放するように要求すべきです。
仮に拘束に正当性があったとしても、預金ではなく、不動産などの担保設定に変更できないかぐらいの交渉はするべきです。
◎ケースB
『資金繰りのために定期預金を解約しようとしても、不動産の時価下落による担保不足を理由に、銀行が解約させてくれない。』
よっぽどの大会社ならさておき、中小企業ならば、その月の売掛金の入金額の範囲内だけで、常に、その月の買掛金・経費の支払いを済ませられるほど、そんな幸運な会社はまずないでしょう。
季節的・時期的な要因で売上が減少するときもあれば、取引先の都合で売掛金の回収が遅れることもあります。
一時的に大きな支出がたまたま重なるときもあるでしょう。
そんなときには、銀行に預けてある定期預金を満期前に解約して資金繰りに充てることは、どんな会社でもあり得ることです。
ところが、いざ定期預金を下ろすときになって、銀行に「その解約は待ってください」と拒絶されることがあります。
それを無視して強行に解約を主張すれば、「よっぽどこの会社は資金繰りが悪いのか」と経営不安を勘繰られるのではないかと経営者は懸念し、自分のポケットマネーや親戚などから借りてその場をしのぐ、ということもあるかもしれません。
そもそも、銀行が貸し手という強い立場を利用して融資に見合う、「にらみ預金」を強制することは不当行為です。
手形割引時に割引額の一部を預金させる「歩積」や、貸付時に貸出金額の一定割合を定期預金等で積ませる「両建」などが、にらみ預金の例です。
銀行が、にらみ預金を強制し、実質的な貸付金利を高めることは、優越的立場の濫用として、不公正な取引方法にあたるとされています。
旧大蔵省時代から、「歩積・両建預金の自粛」はもちろんのこと、「債務者の意思に反する不当預金拘束」についても、繰り返し通達を出し、銀行の自戒を求めています。
仮に、上記のような「にらみ預金」行為がなかったとしても、銀行が何らかの情報でその会社の経営見通しに不安を抱き、定期預金解約の申し出があったときにそれを拒絶する、ということは十分に考えられます。
しかし、例え定期預金であっても解約自由なのが原則であり、途中解約は可能としっかり約款に書いてあるはずです。
このケースの場合に会社が取るべき行動としては、銀行に対して、預金拘束は旧大蔵省通達で禁止されている行為であり、この定期預金が解約できなければ取引先等に多大な損害を与え、ひいては当会社の信用を落とし、経営危機に瀕する旨を説明し、預金拘束を止めるように要求することです。
万が一の場合ですが、銀行による預金解約の引延ばしの結果、資金繰りに窮して会社が倒産に至ったとしましょう。
銀行が貸金の「期限の利益の喪失」として、債務不履行分と預金とを相殺する行為に出たならば、それは抜け駆け的な債権回収であり、立派な違法行為です。
損害賠償の対象にも考えられるので、預金拘束と会社が受けた損害との因果関係が証明できるように書類を整備しておき、顧問弁護士に依頼すべきです。
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税理士・山内司 / 山内会計事務所 【石川県金沢市】〒 920−0993 金沢市下本多町6番丁40−1
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posted by 資金繰りコンサルタント・税理士/山内司 at 19:03|
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